「維新の街」で志高く掲げて〜Together238号インタビューより
「本質的な生き方」の教えを胸に
昨年は開業12周年の「ひと巡り」おめでとうございます。また、萩が世界中から注目された年になりました。まずは今田先生のふるさとに寄せる思いからお聞かせください。
ありがとうございます。「花燃ゆ」と世界遺産登録で萩には昨年来たくさんの方に訪れていただいています。萩のいいところは、正しい考え方や道徳が生活の中で身近に感じられる土地であり、人々がそれを大切にしていることです。いまでも萩の人は幕末・維新の多くの志士を輩出した松下村塾を主宰した“吉田松陰”を尊敬と親しみをこめて「松陰先生」と呼んでいます。 そんな松陰先生の言葉で僕が大事にしている言葉があります。
「其の心を尽くす者は 其の性を知るなり
其の性を知れば即ち天を知る」 です。
人というものは、その心の奥底まで極めると、本性の善なるところに至る。其の性の善なることを知れば、その性はもともと天から受けたものなので、天が善を好むということが知れる。人の本質はもともと至善であり、成長するということは至善に至ることであり本質的な生き方をすることが大切だと説いています。
「正しく成長できるように」整える
わずか2年半の松下村塾の教育のなかで、塾生は学び友達であり共に学び考えあうなかで自習・自立し大きく成長していきました。僕は、臨床を通じて心をつくし、チームメイトや患者さんとともに正しく成長できるように医院を整えていけたらと思っています。それが僕たちの目指す泰(ゆたか)な状態であり、安心安全でほっとする家庭のような場所に整えることが僕たちの願でもあります。うちに関わるすべての人が家族のような存在で善いことも悪いことも何かあったらとりあえずここに帰ってきて顔を合わせ言葉を交わして時間を共有し温かい気持ちになってからその人のいるべき場所へ戻って人生を歩んでいってもらう。いまだ歯科医院がそのような存在になれたらと思っています。
「心身ともに癒される空間」めざす
松陰先生が先生の軸になっていることがわかります。具体的な医院の理念をお聞かせください。
いまだ歯科医院の診療理念は、第一に患者さんにとって「心身ともに癒される空間」であることを目指しています。患者さんの話をよく聞き、患者さんの立場に立って考え笑顔で接することで患者さんが笑顔でいつまでも自分の歯で美味しく食事をしていただけるように、歯に優しい医療をめざします。
「歯に優しい医療」とは、一生ご自分の歯で食べていただくための、その方にとっての最善の医療を提供するということです。 第二にチームにとって。医療に関わる人間として「正しく働けるステージ」で、患者さんの立場に立って考え共感し共に喜びを感じる事で、人間として生きる本質を学び、患者さんとともに豊かな人生を送れる歯科医院を目指しています。
「正しく働けるステージ」とは治療における「正しい考え方」を自分の意思で選ぶことができることです。チームメイトの自習自得自立、自己成長ができるステージのことです。
「人間として生きる本質」とは「幸せになること」。
「幸せ」とは・自分や自分の周りの人やものすべてに感謝できる・誰かのために生きられること(自己犠牲ではなく)・自分の持てるスキルで人が喜んでくれたときお互いがハッピーになることです。
第三に地域社会にとって。いまだ歯科医院では、地域の皆さんが健康で豊かに暮らせるために「正しい考え方」を発信し続け、その「正しい考え方」が次世代へも受けつがれ、地域へ根付いていく事を目指します。
「豊かな暮らし」とは正しい考え方の選択が常にできる状態であること。「正しい考え方」とは○×や正義と悪など二者択一ではなくて「中庸」のイメージ。たとえば「正しい考え方」でもAさんとBさんでは必ずしも一致しない。人や場面によって変化しますが、その時にブレないことが大事です。患者さんには疾病に打ち克って豊かで健康になっていただくための情報や治療法、手段を手に入れていただきたいと願っています。
コミュニケーション力向上への努力
皆さんは患者さんに「正しい考え方」を発信する努力を積み重ねてこられましたね。
いまだ歯科の自慢のひとつに開業当初から発行している院内新聞『みんなの輪』があります。12年間で39号になりました。スタッフ紹介や歯科の知識など、みんなで編集して、フィニッシュをコムネットさんにお願いして綺麗に仕上げていただいています。また栄養士の資格をもつチームメイトが食をテーマにした新聞を発行して喜ばれています。
また「人をよくするのは人の力」ですか ら医院全体の知識力・技術力・コミュニケーション力の向上が不可欠です。患者さんに真心を尽くして疾患に全身全霊で立ち向かうことが臨床にかかわる人間の本質でありそれが人としての成長につながると感じております。そのため手助けになればと当院では研修に力を入れております。
歯周病学会には歯科衛生士の先生(注:今田院長は歯科衛生士さんを「先生」と呼んでおられます。)を必ず連れて行き、勉強の機会もいただいています。また、毎週火曜日ミーティングを行いますが、月1回歯科衛生士の上間先生に来ていただく勉強会や多方面で活躍をされている外部講師の方々による勉強会など「外部の風」も大切な学びと成長の機会になっています。 昨年から、地域のデンタルIQをアップさせる全体目標のもとに、
①カウンセリング力チーム
②お待たせ改善チーム
③キャンセル対策チーム
という、3つのプロジェクトチームを立ち上げてチーム力アップにとりくんでいます。結果は全て患者さんから教えていただきます。
「人が育ってゆく」歯科医院に
新しい周期がスタートしていますが、いまだ先生の将来に向けての抱負をお聞かせください。
いまだ歯科医院は開業12年、新しい周期を迎えて新たな課題と目標に向かってスタートしました。診療体制ではユニットをあと4台増設して歯科衛生士の先生に歯周治療と予防管理で活躍していただきたいと考えています。チームメイトは家族と同じです。
医院全体としては、いまだ歯科医院に一定期間勤務したチームメイトすべてが、ひとりの人間として、女性として輝き、家庭を持ったときにリーダーシップをとれるよう成長できる場所にしたいですね。
「2巡目」は、これまで蒔いてきた種が「芽を出し成長する」時期にあたります。いくつもの芽が出て伸びる年を積み重ねていきたいと思っています。僕の今年のテーマ「信」を忘れず臨床を通じて関わる全ての人が成長できるように修養していければと思っています。
ありがとうございました。今田先生は松陰先生を心の師と仰ぎ,四書五経にも精通され、志高く診療と医院運営をされています。開業時から続けておられる院長自らの早朝院内清掃の姿には心が洗われる思いを抱きました。「チームメイトが正しく成長できる場」として安心安全を感じることができる温かい家庭のような医院にしたい、という構想には、松陰先生が「自分はどう考えるのか」「自分は何をなすべきか」を自立的に考え行動する幕末の志士を育てた松下村塾を彷彿とさせられます。 帰りに寄った松陰神社で引いたおみくじには「松陰先生御教訓」としてこう書かれていました。 「志を立つるを万事の源となす」(士規七則)
株式会社コムネット
Together238号インタビュー記事より