[予防歯科]むし歯(う蝕)を予防する

むし歯のない状態をつくることは本当に難しいのでしょうか?

むし歯はむし歯菌による感染症です。
そして、口は口腔と言われる臓器です。

生体のあらゆるところには生体を健康を保つためのいろいろな機能やしくみをもっています。もちろん口腔という臓器も口腔と全身を健康に保つための機能やしくみをもっています。口腔いう臓器では歯を健康な状態に保つために機能やしくみは唾液です。それを最大限に生かすには口にいれる食物の選択がとても大切になります。

脱灰と再石灰化むし歯予防において

原因  「因」はむし歯菌
結果  「果」はう蝕(むし歯)
修飾因子「縁」は唾液と食物

となります。
それではむし歯菌が生息している口腔内ではどのようなことが起こっているのかを一緒に考えていきましょう。

食事をすると歯の表面では脱灰と再石灰化という状態繰り返します。

① 脱灰   ・・・歯の表面を溶かしてしまう状態
② 再石灰化 ・・・歯の表面を元の状態に戻す状態

ステファンカーブ

脱灰(歯の表面を溶かしてしまう状態)をしてもすぐに穴があくわけではありません。

ICDAS

図(ICDAS)にあるように歯に穴があくまでに、まず「初期むし歯」と言われる状態になります。
図でいくとコード1、コード2という状態で歯を構成する成分が溶け出してしまい歯の表面が白濁し「健康」から「初期むし歯」の状態に移行しています。この「初期むし歯」の状態は穴があいていないむし歯の状態なので「健康」な状態へ戻すことが可能となります。

つまり「初期むし歯」は治るのです。

むし歯を直すには、1日のうちの脱灰(歯の表面を溶かしてしまう状態)時間を少なくし
再石灰化(歯の表面を元の状態に戻す状態)時間を長くするようします。

脱灰(歯の表面を溶かしてしまう状態)時間を少なくするには

① 1日のお砂糖の摂取を減らす(1日大人40g、小人20g)
② 間食の回数を減らす
③ ストレスを減らす

再石灰化時間を長くするには

① しっかり咀嚼回数を多くし唾液の作用を強める
② 再石灰化を促す食品を積極的に摂取する

再石灰化を強化するもの(強化しやすい順)

1 フッ素
2 チーズ(ハードチーズ)
3 シュガーレスガム
4 キシリトール
5 ミルク
6 食物繊維
7 新鮮な果物(う蝕予防効果は少ないがう蝕にもなりにくい食品)

③ 歯ブラシの活用

「初期むし歯」を気づかずに放置してしまうと下記の写真、コード3以上の状態に移行してしまいます。

コード3

朝磨かなくて夜にはむし歯になるということはありません。
穴があいてしまうまでにはかなりの時間の経過が必要になります。そのため、日々の正しい行動の積み重ねが大切です。正しい知識とそれに基づいた正しい行動を習慣化することでむし歯は進行していくことなく歯も健康になっていきます。

また1日のうちの脱灰と再石灰化(歯の表面を元の状態に戻す状態)の状態を「食事の回数」という観点からみてみると、

 

食事の回数

 

「3食+おやつ」の方が青色の再石灰化している状態が「だらだら食い」に比べると圧倒的に面積が広いことがわかります。つまり、「溶けた歯を元に戻す時間」が長いことを意味しています。また、自然と赤色の脱灰している状態は短くなり再石灰化時間を増やすことは脱灰時間=「歯を溶かす時間」は短くなります。

つまり脱灰時間を減らすことも大切ですが、歯に優しい善い時間を増やしていくことで脱灰時間を減らすことを意識しなくても自然と脱灰時間を減らすことにつながります。あれもダメこれもダメ歯のために我慢ばかりすることはストレスを増やし楽しく続けていくことが難しく思えてきてしまいます。善いことを知り自分にあった善い行動を選択することで我慢をすることなく楽しくう蝕予防生活を続けやすくなります。

むし歯菌を殲滅することを目的とするのではなくむし歯(う蝕)菌といかにうまく付き合っていくかを目的に行動選ぶことが重要になります。

むし歯菌の性質を知り口腔のもつ機能を理解した上で予防を進めていくことと健康を維持することを手伝っていくことが大切です。

あなたの生活のすみずみまでを調べて、今の暮らし方で一生自分の歯で食べれるかどうか判断してみましょう。

今すぐ実行できる一番賢い方法は、口腔の健康の妨げになるものを一切やめてしまうことです。口腔に良くないことはやめて、口腔に善いことを新たに始めるなら、ごく短い時間で、口腔の健康状態に変化がおとずれます。


歯に善いことを増やす

歯によくないことを減らす

歯に善いことを新たに始める

歯によくないことは完全にやめる

 

具体的には

 

むし歯菌の性質を正しく認識する

お砂糖の摂取は減らす

唾液のもつ自浄作用を最大限生かす

再石灰化を助けるような食事や食材を活用する

 

多様化する生活習慣や食生活。複雑化した情報の中で正しいものを見つけていくことが難しくなってきています。ご自分の生活習慣や口腔の状況に合わせた予防方法を一緒に考えて一番事項しやすい方法を見つけていくことで歯に優しい状態を実践することでお口の健康から全身の健康を通じて日常生活を愉しんでいただけることが私たちチームの願いです。

山口県萩市・いまだ歯科医院お問い合わせ