歯周病とは
歯周病とは、歯を支える骨・歯根膜・歯肉などの大切な歯を支えている組織に炎症が起きている状態です。
歯周病の原因
近年、「歯周病には“原因菌”というものが存在するのではなく、口腔内の“常在菌”の秩序が乱れることが原因」と考えられるようになりました。
お口の健康を保つため、人の口腔内には約、700種類の常在菌が生息しています。その常在菌の生息バランスが崩れることで歯周組織に炎症が起こってしまう状態が歯周病なのです。
歯周病の症状
歯周病は、初期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、進行すると、
・歯磨きをすると出血する
・歯茎の色が部分的にうっ血したような色になった
・疲れたときや忙しいとき、体調が悪いときなどに、口の中に不快感を覚える
・朝起きたとき、口の中が粘る感じがある
といった症状が起こります。
自覚症状に基づいた判断に頼ったり、長年にわたって放置したりすると、年を重ねたときに歯を失ってしまうという重篤な状況になることも少なくありません。
定期的に歯科でチェックを受け、少しでも早く生活改善や治療に取り組むことをおすすめします。
全身疾患との関係
歯周病は、糖尿病をはじめ、緑内障・心筋梗塞・狭心症・心内膜炎などに影響を与え、それらの増悪因子になってしまうことがわかっています。近年は、アルツハイマー型認知症や骨粗鬆症との関連も指摘されるようになりました。
口腔内ケアを意識して歯周病の治療を進めていくと、これらの全身疾患も改善すると考えられています。
全身疾患により手術が必要な場合も、まずは歯周病を改善してから受けることが推奨されていますが、これは予後にも好影響を与えるためと考えられています。
和合会の歯周病への取り組み
歯周病にならないためには、まずは、患者さんご自身の「正しい現状の認識」が重要になります。
日々の口腔ケアや定期検診は大切ですが、全身の疾患との関連もあることから、併せて、まずはよく噛むことやストレスを溜めないこと、免疫を向上することなどがポイントとなります。
これらは「唾液の分泌」を促すことに繋がり、口腔内のバランスを維持することに効力を持つためです。
治療をスタートしたときからのデータ(写真や歯周ポケットの計測など)を記録・引継ぎしながら、現時点の状態を患者さんとシェアし、適切な治療やアドバイスを行っていきます。
歯周病治療の流れ
- 1
- レントゲン撮影やプロービングなどの検査をし、歯周病の有無や進行度を調べます。プロービングとは、歯周ポケットの溝の深さや出血の有無、歯のぐらつきを確認することです。
また、詰め物の状態や噛み合わせが正常かどうかもチェックします。
- 2
- 歯磨き指導や歯石除去(スケーリング)を行います。重度の場合はこれを数回繰り返します。
- 3
- それらを繰り返しても改善しない場合は、歯周外科処置(抜歯や歯周ポケットを減らすこと)に至ることもあります。
- 4
- いずれの場合も、治療後は定期メンテナンスを行い、安定した状態が続くよう努めます。
「SPT」について
「サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー」の略で、保険用語では「歯周病安定期治療」と表します。
一連の歯周治療が終わった後、安定した状態を維持するため、または、ほとんどが健康であるものの部分的に歯周病の再発が危ぶまれるような状態があるため、治療を継続的に行うことを指します。保険治療として算定できる項目とされています。