ブログ

口腔機能、実はこんなに大事だった!?健康寿命を延ばす秘訣とは?

口腔機能、実はこんなに大事だった!?健康寿命を延ばす秘訣とは?

「最近うまく噛めない」「言葉が出づらい」そんな悩みはありませんか?

食事中にむせたり、話すときに滑舌が悪くなったと感じることはありませんか?

もしかすると、それは口腔機能の低下が関係しているかもしれません。「口腔機能ってそもそも何?」「年齢とともに衰えるの?」「どうやって維持すればいいの?」

このような疑問を感じたことがある方は少なくないはずです。私たちが普段あまり意識していない口の働きには、食べる・話す・飲み込む・表情をつくるなど、さまざまな役割があります。

この記事では、そんな「口腔機能」の基本と、日常生活との関わりについてわかりやすくご紹介します。

目次

口腔機能とは
口腔機能低下によるリスク
若い人も口腔機能が低下する?
オーラルフレイルと口腔機能低下症の違い
口腔機能の予防や改善方法
まとめ

口腔機能とは

口腔機能とは、「噛む」「飲み込む」「話す」「味わう」「呼吸する」など、日常生活における口の基本的な働きを指す総合的な機能です。これらは、口唇、舌、顎、咬合筋群、唾液腺など多様な器官が協調して成り立っています。特に、食物の咀嚼から嚥下、会話や呼吸まで、口腔機能は“食の入り口”であり“呼吸の通り道”としても重要な役割を果たしています。

加齢に伴い、これらの機能は徐々に衰退していきます。たとえば、唾液の分泌量の低下は、口腔内の自浄作用を低下させ、虫歯や歯周病、口臭の原因となります。また、舌や口唇の筋力低下は、食べこぼしや滑舌の悪化、むせ込みの頻度増加につながります。これらの症状が連鎖的に進行することで、やがて社会参加や自立した生活にも影響を及ぼすようになります。

 

口腔機能低下によるリスク

口腔機能の低下は、単に食事のしづらさや発音のしにくさといった局所的な問題にとどまりません。日本老年医学会などの報告によれば、口腔機能の衰えは、低栄養、サルコペニア(筋肉量減少)、認知機能の低下、そして要介護状態の進行と密接に関連しています。

たとえば、しっかり噛めなくなることで、摂取する食材の種類が偏り、栄養のバランスが崩れやすくなります。また、噛むという動作には脳の血流を促進する効果があるため、咀嚼能力の低下は認知機能の低下にも繋がりやすいとされています。さらに、飲み込む力が衰えると、唾液や食物の誤嚥による誤嚥性肺炎のリスクも増加します。

口腔機能の低下は、身体的な疾患だけでなく、社会的な孤立や精神的な抑うつにも影響を及ぼします。会話が億劫になる、外出を避けるといった行動制限が重なることで、社会参加の機会が失われ、生活の質(QOL)の低下につながるのです。

若い人も口腔機能が低下する?

厚生労働省が実施した「令和4年度 歯科医療に関する国民意識調査」によると、20代・30代の若い世代においても、「口の中が乾く」「食べ物が噛みにくい」といった口腔機能に関連する症状を経験している人が一定数いることが分かっています。つまり、口腔機能の低下は高齢者だけでなく、若年層にも見られる傾向があります。

一方で、「口腔機能のチェックを受けたことがあるか」という質問に対して、「受けたことがない」と回答した人の割合は全年代で多数を占めており、特に20代・30代ではその傾向が強くなっています。このことから、若い世代においては、口腔機能の重要性や定期的な評価の必要性が十分に浸透していないことがうかがえます。

また、歯科健診を受ける目的については、「むし歯のチェック」や「歯石除去」が多く、「噛む力」や「飲み込み」といった口腔機能の確認を目的とした回答は比較的少ない結果となっています。若年層では、歯や口の見た目や痛みといった目に見えるトラブルには関心がある一方で、機能の維持や衰えに対する意識はまだ高くない現状があるといえます。

このような状況は、将来的な健康リスクを早期に防ぐという点でも重要な示唆を含んでいます。若いうちから口腔機能への関心を高め、定期的なチェックや必要なケアを取り入れることが、長期的な口腔の健康維持につながります。

機能の維持・改善」に対する意識を高める必要があることが示されています。特に若い方々においても、口腔機能を意識し、定期的なチェックや早めの対応を心がけることが大切です。

オーラルフレイルと口腔機能低下症の違い

オーラルフレイルと口腔機能低下症は、どちらも加齢などに伴う口の機能の衰えを示す言葉ですが、それぞれ意味と位置づけが異なります。オーラルフレイルは、日本歯科医師会が2019年に提唱した概念で、健康な状態と要介護の間にある「フレイル」のうち、特に口腔に関わる軽微な衰えを表現する啓発的な用語です。日常生活の中でのわずかな変化、たとえば「滑舌が悪くなった」「噛みにくくなった」「食べこぼしが増えた」「むせやすくなった」など、本人や家族が気づきやすい状態が該当します。

一方で、口腔機能低下症は、医学的な診断基準に基づいて認定される疾患名であり、2018年度の診療報酬改定以降、歯科保険診療の対象として正式に位置づけられています。診断には、「口腔不潔」「口腔乾燥」「咬合力低下」「舌口唇運動機能低下」「低舌圧」「咀嚼機能低下」「嚥下機能低下」の7項目を評価し、そのうち3項目以上に該当した場合に「口腔機能低下症」と診断されます。

つまり、オーラルフレイルは、口腔機能の変化に気づくきっかけとなる言葉であり、口腔機能低下症は、その状態を客観的に検査し、診断するための病名です。両者は対立するものではなく、連続した概念の中で活用されています。

 

口腔内を清潔に保つ

口腔機能を維持するためには、まず口腔内の衛生状態を良好に保つことが重要です。歯ブラシによる丁寧な歯磨き、舌の清掃、デンタルフロスや歯間ブラシの使用、洗口剤の活用など、適切なセルフケアが求められます。これにより、虫歯や歯周病、口臭などのリスクを低減できます。

定期的に歯科を受診する

自覚症状がなくても、歯科医院での定期検診を受けることが大切です。口腔機能の変化を早期に発見し、必要な処置や指導を受けることができます。歯石除去、義歯の調整、噛み合わせの確認など、歯科医師の専門的なケアは機能低下の予防に効果的です。

口腔機能を鍛える体操を行う

口腔周囲の筋力維持には、口腔体操の実施が有効とされています。たとえば、「あいうべ体操」や「パタカラ体操」、唇を閉じる運動や舌を上下左右に動かす運動などがあります。これらの体操は、発音・咀嚼・嚥下機能の維持や改善につながります。

咀嚼習慣を見直す

よく噛んで食べることも、口腔機能の維持に役立ちます。硬さの異なる食材を取り入れ、一口ごとに意識して咀嚼することが推奨されます。食事の内容や噛み応えの工夫により、咀嚼筋の活動を促すことができます。

唾液の分泌を促す

唾液の分泌を保つためには、こまめな水分補給とともに、唾液腺マッサージが推奨されます。耳下腺・顎下腺・舌下腺を刺激することで、唾液の分泌を促進し、口腔内の乾燥を防ぐことができます。唾液には自浄・抗菌・潤滑などの働きがあり、口腔機能維持に重要です。

あわせて読みたい│そのままで大丈夫?歯がボロボロを放置したときに起こること

 

口腔機能の低下は、身体の衰えや疾患の“結果”ではなく、“きっかけ”となり得る重要な兆候です。オーラルフレイルという視点を通して、口腔機能を見直すことは、

健康寿命を延ばし、自立した生活を維持するための第一歩と言えるでしょう。

高齢化が進む中で、単に歯を治療するだけでなく、噛む・話す・飲み込むといった機能を総合的に診る“機能支援型の歯科医療”が求められています。

ご自身やご家族に「食べづらさ」「むせ」「口の乾燥」などの変化が見られる場合は、ぜひ早めに歯科医療機関へご相談ください。

当院では、口腔機能低下の早期発見と予防を目的に、簡易チェックや口腔機能訓練プログラムを提供しています。

「最近なんとなく気になる…」そんな小さな違和感も、ぜひご相談ください。

 

この記事の監修者

医療法人和合会いまだ歯科医院 理事長 今田 奨

当院では初診のカウンセリングを大切にしています。患者さまが治療に対して不安を抱えている場合は、しっかりとお話を伺い、安心して治療に臨んでいただけるようサポートしています。お困りの方はお気軽にご相談ください。

【経歴】
平成9年3月 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
第90回歯科医師国家試験合格
5月 愛知学院大学歯学部附属病院臨床研修医
愛知学院大学歯学部歯科保存学第三講座(現在歯周病科)専攻生
平成10年4月 愛知学院大学歯学部歯科保存学第三講座非常勤助手
平成27年10月 愛知学院大学助教

当院の診療についてはこちら

 

 

いまだ歯科医院

お問い合わせは
お気軽に

来院されることを楽しみにしていただける
よう
温かい雰囲気作りを
大切にしています。