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中学生・高校生の口臭が気になる方へ─思春期特有の変化と正しいケアを歯科医が解説

中学生・高校生の口臭が気になる方へ─思春期特有の変化と正しいケアを歯科医が解説

思春期の悩み「口臭」、実は多くの中学生が抱えています

思春期は心も体も大きく変化する時期です。中学生になると、学校生活や部活動などで他人と接する機会が増えるため、「口臭」を気にし始めるお子さんが多く見られます。親御さんも「子どもの口がなんとなく臭う…」「本人は気づいていないが、学校でからかわれていないか心配」といった声を寄せることがあります。この記事では、医療的な観点から中学生の口臭の原因と、家庭や歯科医院でできる対策をわかりやすく解説します。

この記事の見出し

中学生・高校生に口臭が生じやすい理由とは?

 

中学生・高校生に口臭が生じやすい理由とは?

思春期によるホルモンバランスの変化

中学生は、一般に11歳頃から始まる第二次性徴の時期にあたり、体内のホルモン分泌が急激に変化します。特に男性ホルモン(アンドロゲン)や女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増加することで、唾液腺の働きにも一時的な影響を及ぼすことが知られています。

唾液は、口腔内のpHバランスを保つ緩衝作用、細菌の洗浄、抗菌作用など自浄作用を持つ重要な生理的分泌液です。思春期に唾液の分泌量が低下すると、口腔内の浄化能力が一時的に低下し、嫌気性菌と呼ばれる臭気を発生させる細菌の繁殖を許しやすい環境になります。これらの細菌は、タンパク質を分解する過程で**揮発性硫黄化合物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)**を発生させ、結果的に口臭の主因となります。

歯磨きが不十分であることが多い

中学生の多くは部活動や塾、スマートフォンの使用時間の増加などで生活リズムが乱れやすくなり、日々の口腔ケアの質が低下しやすい傾向にあります。

原因詳細
歯磨きの時間が短い短時間のブラッシングでは、歯面全体に対して十分な清掃が行き届かず、プラークが残りやすくなります。
歯間ブラシやフロスを使用していない歯と歯の間は通常の歯ブラシだけでは届きにくく、補助的清掃用具を使わないと食べかすや歯垢が残留し、細菌が繁殖しやすくなります。
うがいや舌清掃が習慣化していないブラッシング後に口腔内をうがいでリフレッシュしない、また舌苔を除去しないと、細菌や臭気成分が残り、口臭の原因になります。

これらの要因により、歯垢(プラーク)が蓄積します。プラークは、細菌とその代謝産物の集合体であり、放置すると歯肉炎や虫歯、さらには嫌気性菌の増殖温床となり、強い口臭の原因になります。とくに上顎の奥歯の後方部分下顎の舌側の前歯部分は、磨き残しが多くなる部位であり、注意が必要です。

舌苔(ぜったい)の付着

舌の表面、とくに奥側(舌背部)には舌乳頭と呼ばれる突起が存在しており、この構造によって食物残渣や口腔内上皮細胞、細菌などの汚れがたまりやすい環境となっています。これらが蓄積したものが**舌苔(ぜったい)**であり、色は白色から黄褐色まで様々です。

舌苔が形成されると、その中で活動する細菌がタンパク質を分解し、メチルメルカプタンや硫化水素などのVSC(揮発性硫黄化合物)を産生します。これは卵が腐ったような悪臭を伴い、強い口臭の原因になります。

舌苔は通常のうがいでは除去されにくく、専用の舌ブラシを用いた物理的除去が必要です。ただし、強くこすりすぎると舌の粘膜を傷つける恐れがあるため、適切な方法で行う必要があります。

中学生・高校生でも使える口臭ケアグッズの選び方

 

中学生・高校生でも使える口臭ケアグッズの選び方

中学生・高校生が安全に使える口臭ケアグッズを選ぶ際には、年齢や口腔内の状態に配慮した製品を選ぶことが重要です。

中学生・高校生の段階では、継続的な使用がしやすい**「使いやすさ」と「低刺激性」の両立がポイントです。歯科医院での指導のもと、正しい使用法を身につけることで、ケア効果を高めることができます。

ケアグッズ特徴中学生への適応ポイント
歯ブラシ小さめのヘッド、柔らかめの毛を選ぶ歯肉を傷つけず、奥まで届きやすい設計が理想
デンタルフロス歯間の汚れを除去ホルダータイプを選ぶと使いやすい
舌ブラシ舌表面の舌苔を除去やわらかい素材で、奥まで届く形状が望ましい
ノンアルコールマウスウォッシュ低刺激で殺菌成分入りアルコール成分は刺激が強いため避ける
口臭チェッカー(家庭用)呼気のにおいをセルフチェックできる数値で確認でき、自己管理の動機づけになることも
 

お母さん・お父さんができる中学生・高校生への声かけ・サポートのコツ

 

お母さん・お父さんができる中学生・高校生への声かけ・サポートのコツ

中学生は心身ともに変化の大きい時期であり、「口臭」というデリケートな問題に対しても、非常に繊細に反応することがあります。そのため、保護者が「臭いよ」と直接的に指摘するのは避けるべきです。代わりに、思いやりを持った伝え方が重要になります。

たとえば、体調や生活の変化に寄り添う形で自然に会話を切り出すと、本人も受け入れやすくなります。また、歯磨きや舌ケア、デンタルフロスの使用といった口腔ケアを、家族みんなで取り組む習慣として共有することで、本人だけが特別視されずに済みます。

さらに、「そろそろ定期健診の時期だし、ついでに先生に相談してみようか」などと、歯科受診を気軽なものとして促すことも有効です。深刻に受け止めすぎず、自然な流れで専門家のサポートにつなげることが、中学生本人の心理的な負担を減らすポイントになります。

こうした配慮は、子どもの自己肯定感を守りつつ、前向きに口臭ケアへ取り組むための大切なステップです。親としての支え方ひとつで、子どもが自信を持って日常生活を過ごせるかどうかが大きく左右されると言えるでしょう。

 

気軽に始めれる口臭ケアについて

 

気軽に始めれる口臭ケアについて

正しい歯磨きの習慣づけ

1日2回、2〜3分間の丁寧なブラッシングを習慣にしましょう。デンタルフロスやタフトブラシを併用することで、より効果的に汚れを除去できます。

 

舌ブラシの活用

舌苔の除去には専用の舌ブラシを使いましょう。1日1回、優しくこするだけで、臭気の発生を大幅に抑えられます。

 

水分摂取と唾液腺マッサージ

唾液の分泌を促すため、水分をこまめに摂るよう促しましょう。また、唾液腺をマッサージすることで唾液の分泌量が自然と増え、口腔内の自浄作用を高めます。

 

よくある質問(FAQ)

 

よくある質問

Q.  中学生・高校生でも歯周病になりますか?

A.思春期性歯肉炎といって、ホルモンの変化によって歯肉が腫れやすくなることがあります。放置すると本格的な歯周病へ進行する可能性もあるため、早めのケアが重要です。


Q. 子どもが自分で口臭を気にしている場合、どう対応したらいい?

A. 決して否定せず、「一緒にケアしていこうね」という姿勢で寄り添いましょう。過度に不安を煽ると自己肯定感が下がるため、サポートが大切です。


まとめ

 

まとめ

中学生の口臭は、成長過程の一部として一時的に起こることも多く、過度に心配する必要はありません。ただし、継続的に気になる場合や、お子さんが悩んでいる様子がある場合には、家庭でのケアと合わせて歯科医院でのチェックを受けることが大切です。地域の歯科医院では、お子さんの口臭対策にも丁寧に対応しています。気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

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