メタルフリー治療について
歯が目立つ、笑ったときに気になる。以前入れた詰め物の色が合わなくなってきた。
また、体質的に金属が心配で、できるだけ口の中に金属を入れたくない。
メタルフリー治療は、詰め物・被せ物・差し歯などに金属を使わない材料を選ぶ治療の考え方です。見た目の自然さを重視したい方だけでなく、「できる範囲で金属を避けたい」という方にも選ばれています。
ただし、材料にはそれぞれ得意・不得意があり、噛み合わせや歯の残り方、治療部位によって向き不向きがあります。ここでは、素材の選び方と、相談時に確認しておきたいポイントを整理します。
銀歯や金属が気になる方へ
同じ“銀歯を白くしたい”でも、目的は少しずつ違います。
- 見た目:銀歯が見える、色が合わない、歯ぐき際が暗く見える
- 体質面:金属が合わない気がする/金属が気になる
- 再治療のきっかけ:外れた・欠けた・むし歯が再発したと言われた
「どの歯を、どこまで」変えるかで負担が変わります

メタルフリーは「全部やり替える」だけが選択肢ではありません。 気になる1本だけ、見える範囲だけ、噛む面だけなど、状態とご希望を踏まえて範囲を決めていくことが一般的です。 まずはお口の中を確認し、今入っている材料(銀歯・保険の白い歯・自費素材など)や、詰め直しが必要な部位があるかを整理していきます。
「どの歯を、どこまで」変えるかで負担が変わります
メタルフリー治療で用いられる材料は、いくつかの系統に分かれます。ここでは代表的な材料の特徴をまとめます。
セラミックを選ぶ場面

透明感のある見た目が得意で、前歯など“見た目の自然さ”を重視したい場面で検討されることが多い材料です。 一方で、噛み合わせの強さや歯ぎしりの有無などによっては、別素材が向く場合もあります。
歯科医院に相談時のチェックポイント
- 前歯の色調(周囲の歯と馴染ませたいか)
- 噛み合わせ(欠けやすさのリスク要因があるか)
- 歯の残り方(薄い部分が残りやすいか)
ジルコニアを選ぶ場面

強い力がかかりやすい部位(奥歯など)で検討されることが多い材料です。ジルコニアクラウンの臨床研究では、5年経過での生存率が高い報告があります(報告値であり、個人差があります)。ただし、強度が高い=「どなたにも万能」という意味ではありません。噛み合わせの状態や、対合歯(かみ合う歯)の状況、治療の設計によって配慮点は変わります。
出典:J Prosthodontic Research(J-STAGE)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpr/65/3/65_JPR_D_20_00034/_article
ハイブリッドレジン(CAD/CAM)を選ぶ場面

“保険の白い歯(CAD/CAM)”として提案されることが多い材料群です。費用負担を抑えたい方にとって現実的な選択肢になりえますが、部位や条件には制限があり、外れ(脱離)などが課題として報告されることもあります。保険適用の範囲は制度改定で変わることがあるため、来院時に最新の取り扱いと適応を確認しながらご説明します。
参考:厚生労働省(診療報酬改定関連ページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00012.html
金属アレルギーが心配な方へ
金属アレルギーは“歯科金属だけ”で決まるものではありません

金属アレルギーが心配な場合、「歯の金属が原因かもしれない」と感じる方も少なくありません。 ただ、金属は日用品や装飾品など、さまざまな場面で触れる機会があり、症状の背景は一つに決めつけられないことがあります。 そのため、金属が気になる場合は、歯科の視点だけでなく、これまでの体質や症状の経過も含めて整理しながら進めることが大切です。必要に応じて、医科(皮膚科など)の検査結果や治療歴が判断材料になることもあります。
相談時に確認したいこと(受診の目安)
次のような点がある場合は、一度ご相談ください。
- 過去に金属でかぶれた経験がある(アクセサリー・時計・ベルトなど)
- 皮膚科で金属アレルギーを指摘されたことがある
- 口の中の違和感(粘膜の荒れ、ヒリヒリ感など)が続く
- 症状の出方に波があり、きっかけが分からない
見た目の自然さと、長持ちのために押さえたいポイント
材料以上に差が出やすい「適合」と「接着」
詰め物・被せ物は、材料だけで仕上がりが決まるわけではありません。歯の削り方、型取り(またはスキャン)、噛み合わせの調整、装着手順など、複数の工程の積み重ねで結果が変わります。「白い材料にしたのに、すぐ外れた」「欠けた」などのトラブルは、材料選択だけでなく、噛み合わせや設計・接着条件が関わることがあります。
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歯ぎしり・食いしばりがある方へ

欠け・割れ・外れのリスク要因として、歯ぎしり・食いしばりは重要です。必要に応じてマウスピース(ナイトガード)など、治療後の保護策を含めて計画します。
治療後こそ「定期チェック」が大切
メタルフリー素材に限らず、詰め物・被せ物は装着して終わりではありません。
噛み合わせの微調整、清掃状態の確認、むし歯・歯周病の予防管理を続けることで、トラブルの早期発見につながります。
費用と見た目のバランスを重視される方には、保険での白い歯治療は有効な選択肢です。一方で、長期的な美しさや耐久性を求める場合には、自費治療との比較を行うことが推奨されます。
よくある質問
Q.銀歯を1本だけ白くすることもできますか?
A,可能なケースはあります。部位・噛み合わせ・銀歯の状態(中のむし歯の有無など)を確認し、適した材料を提案します。
Q.金属アレルギーがあると、必ずメタルフリーにした方が良いですか?
A,「必ず」とは言い切れません。症状の経過や検査結果、口腔内の状態を踏まえて判断します。歯科金属だけで説明できないケースもあるため、必要に応じて医科での情報も共有いただきながら進めます。
Q.どの材料が一番長持ちしますか?
A,材料の種類だけで決まるものではなく、噛み合わせや歯ぎしり、設計、メンテナンス状況で変わります。お口の条件に合った材料を選び、治療後の管理まで含めて考えることが大切です。
Q.保険でメタルフリーにできますか?
A,部位や条件によっては、保険で白い材料が選べる場合があります。制度の取り扱いは改定されることがあるため、来院時に適応を判断し、最新の扱いをご説明します。



