お子さまのこんなお悩みありませんか

「気づくとお子さまのお口が開いている…」そんな様子を見たことはありませんか? お口を閉じる力が弱い状態は「お口ぽかん」や「口唇閉鎖不全」と呼ばれます。見た目の問題だけでなく、歯並びや噛み合わせ、発音、呼吸機能に影響することもあります。ここでは、お口ぽかんの原因や症状、改善方法について詳しく解説します。
お口ぽかんは早めの対応が大切です

お口ぽかんは成長とともに自然に治ることもありますが、多くの場合、舌癖や口呼吸、筋力不足などの習慣が背景にあり、放置すると歯並びやお口の機能発達に悪影響を及ぼします。 早めに原因を把握し、必要に応じてトレーニングや矯正治療を組み合わせることが、健やかな成長につながります。
お口ぽかんとは

お口ぽかんとは、口唇を自然に閉じていられない状態を指します。医学的には「口唇閉鎖不全」と呼ばれます。この状態では、口唇を閉じる力(口唇閉鎖力)が十分発達していないため、
口が開いたままになることが続きます。 口唇閉鎖力が弱いと、口の中が乾燥しやすくなります。乾燥によりむし歯や歯周病などの歯科疾患のリスクが高まります。また、唇・頬・舌の筋肉の
バランスが崩れることで、歯並びや咬み合わせにも影響が出ることがあります。
さらに、お口ぽかんは3歳から5歳の未就学児でも発見されており、顔の形態(鼻が低く見える、口元が前に出ている、顎が後ろに下がっているなど)に変化が見られる子どもがあるという報告があります。早期に口唇閉鎖不全を発見し、口唇を閉じる力を高める訓練を始めることが大切です。
正常な舌位の状態
正常な舌位の状態
低位舌の状態


- 舌全体が口内にあり、上あご(口蓋)に軽く触れている
- 口唇が自然に閉じていて、口が開いていない
- 発音・嚥下・食べ物をかむときなど、舌や唇・頬の筋肉が適切に動く
- 舌が常に下がった位置にあり、前歯の間や口の入り口付近に舌先が見えることがある
- 舌の側面に歯の形が刻まれた痕(咬合圧痕)がある
- 唇が自然には閉じず、口が「ポカン」と開いている時が多くなる
低位舌(ていいぜつ)とは
低位舌とは、舌が本来あるべき位置より下がった状態を指します。通常は舌全体が上あご(口蓋)に軽く触れた位置に収まっていますが、低位舌では舌が下方に落ち込んだままになりやすく、側縁に歯の圧痕が見られることもあります。
この状態が続くと、口が自然に閉じにくくなり、いわゆる「お口ぽかん」の姿勢が目立つことがあります。また、
次のような特徴的なサインとして気づかれることがあります。
お口ぽかん
舌が下方に位置すると、舌背が気道側に近づき鼻呼吸がしにくい姿勢になりやすく、口を開いて呼吸する様子がみられることがあります。
発音が不明瞭・滑舌が安定しない
低位舌では、上顎の口蓋へ舌を十分に持ち上げにくいため、タ行・ナ行など舌先を口蓋に接触させる音で明瞭さが低下する場合があります。
食事中に「くちゃくちゃ」音が出やすい
舌の挙上や形成(食塊形成)が不十分だと、食べ物を口蓋側で押しつぶす操作が安定せず、咀嚼時に口唇が開きがちになり、咀嚼音が目立つことがあります。
口呼吸が優位・口腔乾燥を自覚しやすい
口を閉じた状態で舌が下にとどまると鼻呼吸が継続しにくく、口呼吸の習慣がみられることがあります。結果として口腔乾燥(ドライマウス)傾向や唇の荒れが目立つ場合があります。
舌縁のギザギザ(歯圧痕)
舌縁が下顎前歯方向に接触し続けると、舌の側縁に歯形状の圧痕(痕跡)が連続的に観察されることがあります。
むせやすい(嚥下が不安定)
舌の挙上・後送が十分でないと、口蓋へ舌を密着させて送り込む動作が不安定になり、嚥下時にむせがみられる場合があります。
就寝中のいびき
舌が低位のまま睡眠時に咽頭側へ落ち込みやすい姿勢になると、いびきが生じやすいことがあります(個人差があります)。
喉が渇きやすく、咽頭部の不快感が出やすい
口呼吸の継続により口腔・咽頭の乾燥感を自覚しやすく、咽頭の違和感を訴えることがあります。
お口ぽかんに見られる主な症状
- 口呼吸をしている
- 食べるのが遅い、またはくちゃくちゃと音を立てて食べる
- 発音が不明瞭(特にサ行・タ行など)
- 指しゃぶりや唇を噛む癖がある
- 常にお口が半開きで表情がぼんやりして見える
これらは「癖」として見過ごされがちですが、歯並びや咬合、さらには全身の健康に影響することがあります。
お口ぽかんの原因
舌癖(舌の異常な動きや位置)
- 舌で前歯を押す習慣がある
- 飲み込みの際に舌を突き出す動きが癖になっている
指しゃぶりなどの口腔習癖
- 長期にわたる指しゃぶりが歯並びや舌の位置に影響る
乳歯の早期喪失
- 前歯を早く失うことで、舌を突き出す癖が強まる
乳歯の早期喪失
- アレルギー性鼻炎や扁桃肥大などで鼻呼吸が難しい場合、口呼吸が習慣化する
筋力不足や舌小帯の問題
- 唇や舌の筋肉が弱い
- 舌小帯が短く、舌の自由な動きが制限されている
お口ぽかんの改善方法
咬む・飲み込むといった機能に大切なのは、唇を閉じることと舌の正しい位置です。ガムトレーニングでは、舌の位置や筋肉の働きを意識しながら、楽しく取り組むことでしっかり咬む力を育てます。
- トレーニングガムを選ぶときのポイント
- むし歯の原因となる糖分が含まれていない「デンタルガム」を使用する
- お子さまが飽きないように、味が持続しやすいガムを選ぶ
- むし歯予防効果のあるガムを使用するとさらに良い
ガムトレーニング
- 1
- ガムを口に入れて1回咬む
最初は右側または左側のどちらかで1回咬み、位置を確認します。均等に咬むことを意識します。
- 2
- ガムを咬みながら側頭筋を確認
手をこめかみに当て、左右の側頭筋の動きを確かめながら咬みます。右側10回、左側10回を目安に行います。均等に咬むことを意識します。
- 3
- 咬筋を触れながら咬む
頬に手を添えて、咬筋の働きを確認しながら左右でそれぞれ10回咬みます。
※②と③を3〜5セット繰り返します。
- 4
- ガムを丸めて前歯で咬む
ガムを丸めて前歯で10回咬みます。必ず口を閉じて行います。
- 5
- ガムを丸めて前歯に押し付ける
ガムを丸めて前歯の上唇側に押し付けます。これを5回繰り返します。
- 6
- ガムを丸めてスポットに押し付ける
ガムを前歯の裏側に置き、舌で口蓋のスポット(正しい舌の位置)に押し当てます。いつも舌がスポットにあるように意識しながら、5回繰り返します。
- 7
- ガムをスポットに押し付けたまま嚥下する
ガムを丸めてスポットに置き、そのまま唾を飲み込みます。これを5回繰り返します。
口唇閉鎖・舌位のトレーニング
- 風船を膨らませる練習
- ストローや吹き戻しを使った呼吸訓練
これらのトレーニングで「唇を閉じる力」や「正しい舌の位置」を習得することが期待できます。