目次
骨粗しょう症 と歯科の関係
AI×歯科パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニング

歯科では近年、歯科診療のために撮影されたパノラマX線画像を用いて、下顎骨下縁の皮質骨の形態を観察し、歯科医師が骨粗しょう症の可能性がある患者をスクリーニングする方法が注目されています。 当院では、人工知能(AI)画像処理技術を用いたパノラマX線画像を自動解析し、歯科医師が顎骨脆弱度を評価することで骨粗しょう症の可能性を検知できるように支援するソフトウェアを導入しています。このソフトウェアは、メディア株式会社が、開発した、歯科領域で初めて承認されたAIプログラム医療機器です。
参照元:丸尾修之 , 豊嶋健治 , 勝又明敏 . パノラマX線画像を用いた骨粗鬆症予防に関する香川県医科歯科連携事業 . 日本歯科医療管理学会雑誌 .
参照元:勝又明敏 . 人工知能による歯科X線画像からの骨粗鬆症スクリーニング . 日本骨粗鬆症学会雑誌
骨粗しょう症とは⁉

骨粗しょう症は、骨の密度や強度が低下し、骨がもろくなりやすくなる病気です。その結果、転倒や軽い衝撃でも骨折しやすくなるのが特徴です。特に、背骨(椎体)、大腿骨の付け根(大腿骨近位部)、手首などの骨折が起こりやすく、高齢者では生活の質(QOL)の低下や寝たきりになる原因にもなります。 骨粗しょう症の主な原因には、加齢、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)分泌低下、カルシウムやビタミンDの不足、運動不足などが挙げられます。日本では、高齢化の進展に伴い、患者数が増加傾向にあり、早期発見と予防が重要視されています。(参考文献 1)
骨粗しょう症が口腔健康に与える影響

骨粗しょう症は、全身の骨密度が低下する病気であり、口腔内の歯の支持構造にも影響を、
及ぼします。
まず、骨粗しょう症になると、歯を支える歯槽骨の密度が低下し、歯の安定性が、
損なわれます。その結果、歯がぐらついたり、抜けやすくなったりするリスクが高まります。
また、歯周病が進行すると歯槽骨の破壊が進みますが、骨粗しょう症があると、
このプロセスがさらに加速し、歯周病の悪化につながることがあります。
さらに、転倒や外傷によって顎骨が骨折しやすくなるリスクもあります。特に下顎は、
歯の支持に重要な役割を果たしており、その健康維持が大切です。
このように、骨粗しょう症は歯の支持構造に直接的・間接的に影響を与えるため、
歯科領域でも注意が必要な疾患です。
骨粗しょう症は女性のリスクが高い

骨粗しょう症は、全身の骨密度が低下する病気であり、口腔内の歯の支持構造にも影響を、
及ぼします。
まず、骨粗しょう症になると、歯を支える歯槽骨の密度が低下し、歯の安定性が、
損なわれます。その結果、歯がぐらついたり、抜けやすくなったりするリスクが高まります。
また、歯周病が進行すると歯槽骨の破壊が進みますが、骨粗しょう症があると、
このプロセスがさらに加速し、歯周病の悪化につながることがあります。
さらに、転倒や外傷によって顎骨が骨折しやすくなるリスクもあります。特に下顎は、
歯の支持に重要な役割を果たしており、その健康維持が大切です。
このように、骨粗しょう症は歯の支持構造に直接的・間接的に影響を与えるため、
歯科領域でも注意が必要な疾患です。
女性の要介護原因は「骨折・転倒」が多いことも
厚生労働省の調査によると、女性(40歳以上)が要介護となる主な原因の第2位は「骨折・転倒」とされています。骨粗しょう症になると骨がもろくなり、骨折しやすくなるため、要介護状態に陥るリスクが高まります。
参照元:厚生労働省. 国民生活基礎調査 令和4年国民生活基礎調査 介護. 第23表「介護を要する者数,介護が必要となった主な原因・通院の有無・性・年齢階級別」
骨粗しょう症を早期発見することによるメリット

骨粗しょう症は、骨密度が低下し、骨がもろくなる病気です。早期発見することで、
骨折や転倒による要介護状態を未然に防ぐことができます。 骨折リスクの高い部位(背骨や大腿骨など)の骨折は、生活の質(QOL)を大きく低下させる原因となります。
早期に骨粗しょう症を発見し、医師の指導のもと適切な食事・運動・薬物療法などを行うことで、骨密度の低下を防ぎ、骨折の予防につながります。
さらに、骨粗しょう症を早期に発見し治療することで、要介護状態や寝たきりになるリスクを
減らすことができます。結果として、患者さん本人の生活の質が向上し、
医療費や介護費の負担軽減にもつながります。
患者様が留意すべきこと
投薬開始前の口腔内管理
骨粗しょう症の薬の使用開始前には、感染源となる悪い歯の抜歯や侵襲的治療を済ませておくことが理想とされています。ぐらついている歯や、根に大きな感染や膿がある歯は抜歯することで顎骨壊死の発症リスクを減らすことができます。口腔内を理想的な状態に整えることが、患者さま、内科医、歯科医師の安心につながります。
日常的な口腔管理の大切さ
薬の投与が急を要する場合は十分な準備ができないこともあるため、日頃からの口腔管理が大切です。定期的な清掃や歯石除去を行い、口腔内を良好に維持しましょう。
お薬手帳による情報共有
薬剤関連顎骨壊死は、治りにくい病気とされてきましたが、2023年のポジションペーパーで外科治療による治癒の可能性が示されています。ただし、再発することもあります。大きな手術が必要になるケースもあるため、薬の投与前から感染源を除去し、口腔内を良好に保つことが重要です。
最期までおいしく食べるために
薬を使っても顎骨壊死を発症しないよう、日頃のケアで口腔内を良い状態に保ちましょう。詰め物や入れ歯だけでなく、残っている歯も含めて、口全体の健康を保つことが大切です。
薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023
自分で骨粗しょう症は予防できる?
10代(成長期)
人の一生で骨量が増えるのは、体がつくられていく成長期の間だけです。女性は15〜18歳、男性は18〜20歳頃に最大骨量に到達します。成長期に最大骨量を高めることが、将来の骨粗しょう症予防につながります。
- 食事から栄養をバランスよく取りましょう
- 休日も牛乳を飲みましょう
- クラブ活動などで運動を習慣にしましょう
- 過度なダイエットはやめましょう
20代・30代
青年期以降、骨は代謝を繰り返し、成長期に獲得した最大骨量を40代頃まで維持します。骨量減少には生活習慣の影響が大きいため、この時期から生活習慣を見直すことが大切です。
- カルシウム、ビタミンD、たんぱく質を積極的に取りましょう
- やせ型は骨粗しょう症のリスクが高いので、過度なダイエットはやめましょう
- ビタミンDのため過度の紫外線防御はやめましょう
- 喫煙と過度の飲酒は控えましょう
- 骨量測定を受け、自分の最大骨量を知っておきましょう
妊娠・出産・授乳期
妊娠中の適正体重を保ち、やせすぎや低栄養に注意しましょう。授乳期にはカルシウムの吸収が高まるため、しっかりと摂取して母体の骨を守りましょう。
- 赤ちゃんへのカルシウム供給のため、カルシウムを積極的に摂りましょう
40代・50代
閉経前から閉経後までの約10年間で、骨密度は15%減少します。定期的に骨量測定を行い、早期発見・早期治療につなげることが勧められます。
- カルシウム、ビタミンD、たんぱく質を積極的に取りましょう
- 運動を習慣にしましょう
- 喫煙と過度の飲酒は控えましょう
- 1年に1回程度、骨量を測定しましょう
60代以降
加齢とともに骨粗しょう症の頻度が増加します。骨折予防のため、定期的に骨量測定を行い、腰や背中に痛みがある場合は受診しましょう。筋力やバランス能力の低下により転倒しやすくなるため、骨折しないよう対策をとることが大切です。さらに、精神的に閉じこもりがちな生活を避け、心身共に健康を目指しましょう。
- カルシウムとビタミンDを積極的に取りましょう
- BMIが低い人は骨折リスクが高いため、適切な体重を維持しましょう
- ウォーキングなど日常的に運動を取り入れましょう
- 転倒に注意しましょう
- 腰や背中の痛み、身長の縮みを感じたら受診しましょう
- 骨粗しょう症と診断されたら治療を開始しましょう